アイカツ難民はけものフレンズ2で幸せになれたのか?
はじめに
この記事は『けものフレンズ2』についての記事ではあるものの、特に目新しい切り口で考察したりするようなことはありません。2017年『けものフレンズ』(以下けもフレ1)放映終了から2019年『けものフレンズ2』(以下けもフレ2)放映終了までの約2年間の、いちオタクの心情について気晴らしに記しているのみです。
・2017年3月 けもフレ1放映終了前後
筆者は『アイカツ!』という作品の大のファンであり、そしてけもフレ1の放送を楽しんでいたけもフレ1ファンでもあります。けもフレ1の放送中から、「けもフレってアイカツと似てるな」と感じる場面が多々あり、けもフレ1の製作陣のインタビューを読んでその思いに確信を持ち、けもフレ1の放映終了後に以下の記事を投稿しました。
この記事を投稿した時点では、この後の展開のことなど全く予期していませんでしたが、今思えば同年8月のけもフレ1再放送の最終日にアイカツと微コラボ?していた時点で伏線はあったのかもしれまん。
おいアイカツがおまかせなのだ!って言ったぞ!!!!!
— 小野 早稀(おの さき) (@OnoSaki1126) August 28, 2017
・2017年9月 たつき監督降板
この件について、この記事で多くを語ることはしません。筆者の気持ちとして、とにかく残念でした。「たつき監督の描くけものフレンズ2が観たかった」というのが正直な感想です。
それと同時に、「誰がたつき監督の後任になったとしても、きっとネットは荒れるのだろうな」という予感がありました。実際のところ筆者も、「たつき監督以外にあの世界観を創るのは無理だろう」と思っていました。
・2018年10月 けもフレ2スタッフ発表
たつき監督の降板騒動から約1年が経ち、けもフレ2のスタッフ情報がついに明らかになりました。この第一報を知り、筆者は心底驚きました。なんと、アイカツの監督を務めた木村隆一氏がけもフレ2の監督を務めるとあるではないですか。
この日、前述のブログ記事にわずかばかりPVが集まりました。そして、こんなコメントを見かけました。
『このブログ書いた人先見の明がある』
いやいやいやいやいや、とんでもございません。まさかこんな事態が起きるなんて全く予想していませんでした。たつき監督降板だけでも相当にイレギュラーな事態であり、そこからアイカツの木村隆一氏が後任になるなんて、一体だれが予想できるのか。
そして、この件を知った筆者の頭にはこの時点ですでに不安がよぎっていました。
すなわち、前述のたつき監督降板騒動の時点でネットに醸成されていた「たつき監督以外のけもフレは認めない」という空気により、木村監督がアンチの格好の標的になってしまうのでは?という不安。
そしてなにより、木村監督のSNS(twitter)運用の危うさは前々からアイカツおじさんたちの間ではそこそこ知られており、もしも木村監督のtwitterにけもフレファンから批判コメントが行くような事態になれば、恐らくは木村監督のtwitterはとんでもないことになるだろうなということが目に見えていました。
以上の点により、けもフレ2の放映前からアイカツおじさんとしては非常に胃が痛い状況ではありました。
しかし、しかしですよ。けもフレ1期のスタッフが大いに影響を受けた『アイカツ!』という作品。その『アイカツ!』の監督を務めた木村隆一氏がけものフレンズ2の監督になる。これはもしかすると、ひょっとすると、案外うまくいくのでは?なにか奇跡的にすべてが上手いように運んで、誰もが納得のいくハッピーエンドを迎えることができるのでは?
そんな期待が、全くないわけではありませんでした。不安:期待=99%:1%くらいの割合でしたが。
そして、そんな1%の期待すら吹き飛ばされることになるとは、このスタッフ発表の時点では思ってもいませんでした。
・2019年1月~3月 けもフレ2放映
繰り返しになりますが、私はアイカツおじさんです。けもフレ1の放映前からのアイカツおじさんです。けもフレ1も大好きですが、やっぱりそれ以上にアイカツが好きなんです。今回、木村隆一氏がけもフレ2の監督を務めるにあたり、もしかしたら自分はけもフレ2を贔屓目に観てしまうかもしれない。不出来な内容だったとしても、『さすがはアイカツの木村監督だ!けもフレ2最高!』と手放しに評価してしまうかもしれない。放映前にはそんな考えも危惧していました。しかし、それはまったくの杞憂に終わりました。
いやもう意味が分からないんですけど。頭から疑問符が消えない。1話から最終話まで「?????????????????????????」って感じです。
『だれがたつき監督の後任を務めても、たつき監督以外にあの世界観を創るのは無理だろう』。それは分かっていました。放送前から分かっていました。例えアイカツの木村監督だろうと、あのたつき監督のけもフレ1の世界観を再現するのは難しいだろうと。それは分かっていたのでいいんです。そこは問題じゃない。
たつき監督のけもフレ1の続きを見ることが叶わなくとも、木村監督のけもフレ2が観れたのならばそれで満足できるはずでした。はずでした。
しかし、公開された『けものフレンズ2』はとても『アイカツ!』の監督が作り上げた作品とは思えない代物でした。
え、これが『アイカツ!』を作り上げた監督の作品なの?あの、優しい世界の代名詞とも呼べる『アイカツ!』だよ?そして『けものフレンズ1』は『アイカツ!』の影響を受けてるんだよね?
その文脈で、『アイカツ!』の監督が作った『けものフレンズ2』が、これ?
もう、ストーリーやらキャラクターやら世界観についてこの記事でとやかく言及する気はありません。
筆者がこの記事を書いているのは、とにかく頭から「なぜ?」が消えなかったからです。
なぜ、けもフレ1の続編として、アイカツの監督から、あのような作品が生まれてしまったのか。
いやもう本当に、意味が分からなくて。なんだかツイッター上には木村氏の人格的な部分を揶揄するコメントが散見されましたが、私は作者の人格と成果物の評価は切り離して考えるべきだと思っています。たとえ木村氏に性格的に気難しいところがあったとしても、それと『アイカツ!』を作り上げた実績は別だと思っています。
そうなんです。木村隆一氏には『アイカツ!』を作った実績がある。…だからこそ分からない。なんで木村監督が関わっていて、けもフレ2があのような出来になったのか?
『打率10割のクリエイターなんていない』と言われればそうかもしれませんが、それにしたって…。
私は、けもフレ2が『面白くない』だけの作品ならそれでも良かったんです。面白いか面白くないかは人それぞれですし、『この作品は自分には合わなかったんだろうな』と無理やりにでも自分を納得させることができます。
私が理解できないのは、あのけもフレ2からは『優しい世界』が欠片も感じられなかったことです。けもフレ1にもアイカツにも共通していたのは『優しい世界』だったはずです。
『けもフレ1のような優しい世界』が無理だったとしても、『アイカツのような優しい世界』は出来たのではないか?
それどころか、けもフレ2の世界は、『ギスギスした世界』だったとしか思えませんでした。
私はこの記事において、けものフレンズ2という作品を擁護をしたいわけではありません。(褒めるところは本当にないと思う)
ただ、アイカツの監督が関わっていてなぜけものフレンズ2という作品がこんなことになったのか、わからない。理解できない。ただただやるせない気持ちで胸がいっぱいで、その苦しみを紛らわすためだけに、この記事を書いています。
もしもけものフレンズ2の監督がアイカツの監督ではなかったとしたら。例えその出来が今回のけものフレンズ2と全く同じだったとしても、恐らく私はこんな記事を書いていないでしょう。
『アイカツの監督』が、あのけもフレ2を作ったから、私はこの記事を書いています。
ただ、正直なところ、このような記事を書く気は当初ありませんでした。こんな記事を書いたところでなにかが解決するわけではありませんし、アイカツおじさんの中には「お前と一緒にすんなよ」と嫌悪を覚える方もいるでしょう。
私がこの記事を書こうと思ったのは、以下の記事についていたブコメがきっかけです。
『けものフレンズ(初代アニメ)』が好きだった人にとって、何が「地雷」なのか - MistiRoom
出た杭しか見ようとしないはてなの人には分からないかもしれないけど、2期制作陣に粘着するでもなく、文句をSNSに垂れ流すでもなく、静かにやるせない感情を抱えた人が過激化した人たちの何倍もいるんだよ
2019/04/05 01:04
この記事を書いたことで、結果的に私も「文句をSNSに垂れ流す」側になってしまうわけですが、この記事の執筆以前は私も「静かにやるせない感情を抱えた人」でした。
けもフレ1期の放送中には、私の観測範囲にはけもフレで盛り上がる人たちがたくさんいました。しかし、たつき監督の降板騒動あたりからけもフレについて語る人が一人また一人と少なくなり、けもフレ2の放映時には、まるでけもフレ2というアニメ自体が存在しないかのように、けもフレについて語る人がほぼいなくなっていました。「けもフレに飽きた」という感じでもなく、意図的に話題に挙げることを避けているのが感じ取れました。アイカツおじさん達の間で、『けもフレ2』が禁句的な扱いになっているとさえ感じました。
そんな折に上記ブコメを見て、「やるせない感情を抱えた人」がもしかしたら自分が思っているよりも大勢いるのかもしれないと思い、こんな記事を書いています。
救いはないのか
けもフレ2を視聴した自分の心中は、大いに乱されました。
もはや救いはないのか…。全てに絶望しかけたその時、一筋の光明が差し込みました。
【告知③】そしてそして!「アイカツ!」がTOKYO MXにて再放送決定♪
— アイカツフレンズ!&アイカツ!&アイカツスターズ!アニメ公式 (@aikatsu_anime) March 14, 2019
毎週木曜日アイカツフレンズ!放送後の19:00~いちごちゃんたちの活躍をもう一度見れちゃいます☆
再放送開始は2019年4月11日からスタートです!#aikatsu
『アイカツ!』再放送決定!
あのアツいアイドル活動アニメ「アイカツ!」放送決定!!4月11日からTOKYO MX1で毎週木曜夜7時から!ぜひご覧ください! pic.twitter.com/lXU7yd0b9m
— TOKYO MX (9ch) (@TOKYOMX) March 14, 2019
『アイカツ!』再放送決定!!
【♥♣来週4/11(木)から、アツいアイドル活動、はじまります❕♠♦】
— TOKYO MX (9ch) (@TOKYOMX) April 4, 2019
個性豊かな彼女たちによる、熱いアイドル活動🎤✨『アイカツ!』は、4/11(木)より毎週木曜よる7時からTOKYO MX1にて放送‼ https://t.co/vpNjPQVAuz #アイカツ #tokyomx #aikatsu pic.twitter.com/STCTQRv3M3
『アイカツ!』再放送決定!!!
4/11(木)より毎週木曜よる7時からTOKYO MX1にて『アイカツ!』再放送決定!!!!!
ここからは『アイカツ!』に興味を持った方へのダイレクトマーケティングになるのですが、『アイカツ!』は掛け値なしに優しい世界です。見ればきっと心が癒されること請け合いです。『けものフレンズ1』もアイカツに影響されているとスタッフが名言しています。『けものフレンズ1』が好きなあなたならきっと好きになるはずです。詳しくは以下の当ブログを参照下さい(再掲)
再放送が待ちきれない!というあなたはバンダイチャンネルやdアニメストアをご利用ください。
以上です
けものフレンズ難民はアイカツ!見ておけば幸せになれる
先日、けものフレンズが最終回を迎えました。
ネット上では、「けものフレンズが終わったらなにを楽しみに生きていけばいいんだ…」と絶望するけもフレ難民が早くも散見されます。
アイカツって?
アイカツ!は、2012年10月から2016年3月まで放映された女児向けアニメです。
2016年4月からは、世界観を一新した「アイカツスターズ!」が現在も放映中。
なんでアイカツ?
けものフレンズがアイカツをかなり意識して作られているっぽい。
以下、けものフレンズ福原Pのインタビューを一部引用します。
──「けものフレンズ」を作る上で、「こういう作品にしたい」といった全体的な方針のようなものはありましたか?
福原 夕方とかに放送したら、大人も子供も観てもらえるような作品にしたいと思っていました。そういうアニメって、今はあまり無いですよね。そう考えた時に思い浮かんだのは「アイカツ!」なんです。僕が「アイカツ!」を好きな理由って、観ているとすごく癒されるというか。娘を見ているような感じになるんですよね。(主人公の)いちごちゃんに対するやましい気持ちとかは全然無くて(笑)。遠くからほんわかとした気持ちで見守る感じ。
梶井:気持ちの上では日曜日の朝にやりたかったんですけど、ニチアサの枠はハードルが高すぎました。それで深夜に流すことになったんですが、運がいいことに深夜アニメファンのみなさんに刺さってくれました。予想していないことばかり起こっています。
福原:僕は放送前から希望していたのは、「アイカツおじさん」みたいな存在です。『アイカツ!』は子供向けなので4クールとか長い期間放送します。物語が進んでも、誰かが急に殺されたりしない。ひどいことも起こらない。ずーっと平和な世界が続いてるんです。視聴者は娘を見守っているかのような、ほんわかした感じになれる作品です。
けものフレンズとアイカツ!の類似シーン
具体的な類似シーンをいくつか挙げてみます。
・崖上り
けものフレンズ3話で、サーバルちゃんが山頂のカフェを目指して崖登り。
一人で。
親子で。
ファンと一緒に。
後輩と。
主人公(いちごちゃん)の影響を受けた後輩(あかりちゃん)は、立派な崖脳へ。
やった 私も崖だ。
崖登りは基礎であり基本。
崖登りはアイカツの基本。
・伐採
けものフレンズ5話では、ビーバーやプレーリードッグと協力して木を伐採し、家を建てましたね。
受け口と追い口の伐倒技術を使うビーバー。かしこーい!
アイカツにおいて崖登りと双璧を成すもの、それは伐採です。
受け口と追い口の伐倒技術はアイカツでも登場。
最後は滑車とロープで丁寧に倒す。
斧は悪くない。
後輩に伐採の指導をする主人公。
木で建物を作るところも、けものフレンズと一致してますね!
ちなみに、後継のアイカツスターズ!にも伐採文化は引き継がれ、最近ではチェーンソーが導入されました。
・そり滑り
けものフレンズ9話では、セルリアンから逃れるため雪山をそりで滑り降りました。
アイカツでは、自分たちで伐採した大木をそり代わりにして雪山を滑り降りました。
勢いがある。
・ライブ
けものフレンズ8話では、ペパプによるライブが。
アイカツといえばライブ。
アイカツはどういう話なの?
アイカツの木村隆一監督は、アイカツのコンセプトについて以下のように語っています。
あまり重たい気分にならずに観られるように、「悪い人がいない世界」でやってみたいという方向性でした。もちろん「スポ根もの」なので、ドラマの作り手であるスタッフ陣は、もっとライバル心をむき出しにしたキャラクターの関係性なども考えます。でも、そうではなく、互いにキャラクター同士がリスペクト(尊敬)し合いながら切磋琢磨していく形の「スポ根もの」として、ドラマ作りができるんじゃないかなと考えました。
(中略)
コメディーはコメディーでも、重たいコメディーにはしたくないと思って、すみずみまで気を使いました。
――重たいコメディーというのは?
要はブラックな笑いです。大人相手の作劇だったら、ライバルのキャラクターが「あなたなんか潰してやるわ」と言い放つようなヤツでもいいでしょう。でも、それは禁じ手にしました。 もしそういうキャラクターを作るとしても、何かしら相手がちゃんとリスペクトの心を持っていることにしたかった。
(「アイカツ!オフィシャルコンプリートブック」より)
アイカツの登場人物は、互いをリスペクトし、他者のアイカツを否定しません。
「フレンズによって得意なことは違う」というサーバルちゃんの言葉に通じるものがあります。
優しい世界。
けもフレみたいに男のいない世界がいいんだけど?
アイカツには男性教師や男性デザイナーが出てきますが、恋愛に発展することはないです。以下、木村監督の語るアイカツの恋愛観。
――「恋愛には触れない」というコンセプトからスタートしたんですね。
恋愛をあまり前に出さないようにしようと思った理由がもうひとつあります。恋愛があると、どうしても思いが成就したところで、お話が終わってしまうんです。プロデューサーから「作品を長く続けたい」と言われたこともあって、あまり物語が収束してしまう世界観を作らないようにしようと思いました。
――そのほかで意識したことは?
ちょっと品のいいコメディーにしたい、と考えました。スタート時はゴールデンタイムでの放送だったこともあり、食事のときに親子で笑って観られて、子どもが親に観られてもあまり照れずに済むようなものにしたかったんです。恋愛をがっつり描くと、子どもはどうしても気恥ずかしさがある。それを避けたいというのもありましたね。
(「アイカツ!オフィシャルコンプリートブック」より)
男性キャラとの絡みが薄いぶん、アイドル同士の友情は濃い。サーバルちゃんとカバンちゃんとか、フェネックとあらいさんとかのそっち方面の関係性が好きな人は楽しめるのではないでしょうか。
今やってるアイカツスターズっていうのを見ればいいの?
アイカツスターズはアイカツからスタッフも世界観も一新されています。主人公の陰口を叩くモブとか、なにかにつけて「結果を出せなければ退学だ」と迫る学園長とか、同世代の男アイドルとの恋愛要素とかが追加されており、これはこれで面白いのですが、けもフレ難民には合わないのではないかと思われます。初代アイカツを見よう。バンダイチャンネルやAmazonプライムビデオ、huluなどで見れます。
最後に
当ブログは一ノ瀬かえでちゃんを応援しています。
追記(2017/08/29)
夏休みに再放送していたけものフレンズが最終回を迎え、その影響なのかこの記事に少しPVが集まっていたので宣伝。
2017/08/30 7:30から、アイカツシリーズ五周年を記念した特別番組が放送されます。
放送時間帯はけものフレンズ再放送と同じ枠なので、この再放送でけもフレを見た方は、是非そのまま続けてアイカツ特番も見てください!
同日8時からあにてれで配信もあります。
おいアイカツがおまかせなのだ!って言ったぞ!!!!!
— 小野 早稀(おの さき) (@OnoSaki1126) 2017年8月28日